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資源・循環

藻場は、日本でどれだけ減ったのか——面積は約1割減、衰退を抱える県は24から31へ

海藻や海草が茂る藻場は、水産資源の育つ場であり、CO2を吸収する場でもあります。水産庁の資料では、全国の藻場の面積は1981年の18.3万ヘクタールから、2018〜2020年の16.4万ヘクタールへ、約1割減りました。衰退を抱える都道府県は、1980年頃の24から、2021年には31に増えました。原因と対策を、資料から整理します。

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海の中の海藻と、ウニ、水温を示す温度計を並べた、抽象的なイメージ

ブルーカーボンやクレジットの話では、藻場が「CO2を吸収する場」として語られます(海の生き物が取り込んで貯める炭素を、ブルーカーボンと呼びます)。ですが、その前に、藻場そのものが、日本の沿岸で減っています。減った量は、全国で約1割。衰退を抱える県は、40年あまりで24から31に増えました。何が藻場を減らし、何が試されているのか。水産庁の資料から、面積、原因、対策を整理します。

面積は、どれだけ減ったのか

水産庁の資料(令和5年2月)は、環境省の全国調査(内湾などを除く)の数字を引いて、藻場の面積を、次のように示しています。

年藻場の面積
1981年18.3万ヘクタール
2018〜2020年16.4万ヘクタール

約40年で、1.9万ヘクタールの減少です。割合では、約10%にあたります(本稿の計算)。

もう一つの指標が、藻場の衰退を抱える都道府県の数です。水産庁の調べでは、1980年頃は24都道県でした。2021年には、31都道府県に増えています。面積が1割減ったという全国の合計に、衰退が広がる地域の増加が重なっています。なお、水産庁の別のページには、瀬戸内海では30年間で7割のアマモ場が減った、という地域の例もあります。全国の約1割という数字は、地域や藻場の種類ごとの減り方の違いを、ならした値です。

広がる「磯焼け」と、その原因

藻場が大きく衰え、なくなる現象を、水産庁は「磯焼け」と呼んでいます。定義は、浅い海の岩場などで、海藻の群落(藻場)が、季節的な増減や、少しの年ごとの変化の範囲を超えて、著しく衰えるか、消えてしまい、植物が乏しい状態になること、です。

水産庁の資料は、原因を、次のように整理しています。

  • 高度経済成長期の、沿岸の開発。
  • 地球温暖化に伴う、海水温の異常な上昇。資料は、日本近海の平均の海面水温が、100年あたり1.26℃のペースで上がっていると報告されている、と紹介しています。
  • 海水温の上昇などを背景にした、ウニやアイゴなど、海藻を食べる動物の、過剰な食害。
  • 濁りや、泥の堆積。

水産庁は、2021年11月に、39の都道府県の担当者にアンケートを行っています。10年前と比べた藻場の衰退の要因、海水温の上昇の影響などを尋ねたものです。同じアンケートでは、10年前と比べて減っている代表的な磯の資源として、アワビが26の都府県で挙げられています(青森県、宮崎県など)。ただし、アンケートが尋ねたのは資源の増減で、それが藻場の減少によるものかは、資料からは分かりません。

原因ごとの対策

資料は、原因と対策を、対応させて示しています。

原因対策
海水温の上昇高温に耐える海藻の種類で、藻場をつくる
植食性の魚の食害駆除、母藻(種をつくる海藻)の保護ネット、侵入を防ぐ施設
ウニの食害駆除、侵入防止
濁り・泥の堆積基質(海藻が付く土台)の高さの確保、泥がたまらない形の基質

資料は、原因を正確に把握したうえで、現地の海域の状況に応じて対策を行うことが重要だとしています。ハード(藻場礁や食害を防ぐフェンスなど)と、ソフト(ウニの除去、母藻の設置など)を一体で行う、という整理です。

水産庁は、漁港漁場整備の長期計画でも、環境の変化に適応した漁場の生産力を高めることを、重点課題の一つに置いています。

クレジットとの関係

藻場の保全や創出の活動は、一部が、Jブルークレジットとして認証されています。認証量や取引量、価格については、Jブルークレジットは1トン約8万円。どれだけ取引されていて、何を買うことになるのかで整理しました。そこでは、2025年度の認証が52件で合計約3,090トンと、国全体の吸収量に比べて小さいことが分かります。

ここで気をつけたいのは、藻場が減っているという事実と、クレジットになる藻場の活動の規模は、別のことだという点です。クレジットの認証量(CO2のトン)と、藻場の面積(ヘクタール)は、単位が違います。クレジットの対象になっている藻場が、全体のどれだけを占めるかは、確認できた資料からは分かりません。

この資料の限界

  • 数字の古さ。 面積の数字は、環境省の全国調査(2018〜2020年)によるもので、その後の変化は、この資料からは分かりません。衰退を抱える県の数も、2021年のものです。確認できた範囲では、これより新しい全国の数字は見つかりませんでした。
  • 調査の範囲。 面積は内湾などを除いた数字で、1981年と2018〜2020年の調査が、同じ条件で行われたかは、資料からは判断できません。
  • 原因の割合。 衰退の要因は、複数が重なり、地域によって違います。資料は、全国で、どの原因が何割を占めるかを、割合では示していません(アンケートには、要因ごとに挙げた県の数を示した図があります)。衰退を抱える県の数(24から31)も、調査の方法や基準が同じかは、資料から判断できません。
  • 対策の効果。 資料は、対策の方法を整理していますが、対策によって、全国の面積がどれだけ回復したかは、示していません。

まとめ

  • 全国の藻場は、1981年の18.3万ヘクタールから、2018〜2020年の16.4万ヘクタールへ、約1割減りました(環境省の調査、水産庁の資料)。
  • 藻場の衰退を抱える都道府県は、1980年頃の24から、2021年には31に増えました。
  • 原因は、沿岸の開発、海水温の上昇、植食性の動物による食害、濁りや泥の堆積などで、対策は原因ごとに違います。
  • ブルーカーボンやクレジットの話の前に、藻場そのものが減っている、という前提があります。クレジットで支えられる藻場がどれだけかは、資料からは分かりません。

次に見たいのは、新しい全国の面積の調査結果と、高温に強い藻場の造成や食害対策の効果が、面積の回復として現れるかどうかです。

参照資料

  • 水産庁 漁港漁場整備部 整備課.「高水温に強い藻場造成への取組状況について」(令和5年2月10日、磯焼け対策全国協議会。藻場の面積、衰退を抱える都道府県の数、磯焼けに関する都道府県アンケート、原因と対策). jfa.maff.go.jp
  • 水産庁.「藻場の働きと現状」(藻場の働き、磯焼けの原因). jfa.maff.go.jp

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