飼料自給率24%の中身——粗飼料は約8割、濃厚飼料は約1割
家畜のエサの国産の割合(飼料自給率)は、2025年度の概算で24%でした。農林水産省の飼料需給表によると、牧草などの粗飼料は79%を国産でまかなえている一方、供給の8割を占める濃厚飼料は、11%にとどまります。昭和40年度の55%から、半分以下になった経過を、数字から整理します。
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牛や豚、鶏が食べるエサのうち、日本で作られたものは、どれだけあるのでしょうか。農林水産省の飼料需給表(令和8年8月)では、2025年度の飼料自給率は、概算で24%です。牧草のような「粗飼料」だけを見れば約8割が国産なのに、全体では4分の1にもなりません。差を生んでいるのは、供給の8割を占める「濃厚飼料」です。ただし、自給率が上がらない理由そのものを書いた資料ではありません。数字の中身と、資料から読み取れる構造を整理します。
粗飼料と濃厚飼料
家畜のエサは、大きく2つに分けられます。
- 粗飼料: 乾草、サイレージ(発酵させた牧草など)、稲わらなど。
- 濃厚飼料: とうもろこし、大豆油かす(大豆から油をとった残り)、こうりゃん、大麦など。
量は、家畜が消化できる養分の総量(TDN)で数えます。飼料需給表によると、2025年度(概算)の供給量は、2,345万TDNトンです。
| 区分 | 供給量(万TDNトン) | うち国産 | 自給率 |
|---|---|---|---|
| 粗飼料 | 464 | 368 | 79% |
| 濃厚飼料 | 1,881 | 206 | 11% |
| 合計 | 2,345 | 574 | 24% |
濃厚飼料が、供給量の約8割(80%)を占めます。ですから、全体の自給率は、濃厚飼料の自給率に引っぱられます。粗飼料は国産が約8割ですが、量が全体の約2割しかないため、全体を24%まで引き上げることはできません。
なお、この自給率は、重さではなく、TDN(カロリーに近い養分の量)で数えたものです。また、濃厚飼料の「国産」に数えられるのは、国内産の麦などで、輸入した大豆から国内で油をとったあとの大豆油かすなどは、国内で作られても国産に含まれません(資料の注)。
自給率は、昭和40年度の55%から半分以下に
飼料自給率の推移を、資料から拾います。
| 年度 | 飼料自給率 | 粗飼料 | 濃厚飼料 |
|---|---|---|---|
| 昭和40年度 | 55% | 100% | 31% |
| 昭和50年度 | 34% | 100% | 14% |
| 平成7年度 | 26% | 80% | 11% |
| 令和元年度 | 25% | 77% | 12% |
| 令和6年度 | 26% | 80% | 12% |
| 令和7年度(概算) | 24% | 79% | 11% |
昭和40年度は、粗飼料が100%国産で、濃厚飼料も31%が国産でした。昭和50年度には、濃厚飼料の国産率が14%に下がっています。同じ時期に、供給量に占める濃厚飼料の割合は増えました。昭和40年度は約66%、令和7年度は約80%です(本稿の計算)。つまり、国産率の低下と、国産率の低い濃厚飼料の割合の増加が、重なって自給率を押し下げました。濃厚飼料の国産率は、昭和50年度以降、おおむね11〜14%の範囲で、動いていません。
令和6年度から7年度にかけては、自給率が26%から24%に下がりました。内訳は次のとおりです。
| 区分 | 令和6年度 | 令和7年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 飼料自給率 | 26% | 24% | 2ポイント低下 |
| 濃厚飼料の国産分 | 2,344千TDNトン | 2,063千TDNトン | 約12%減 |
| 粗飼料の国産分 | 3,823千TDNトン | 3,677千TDNトン | 約4%減 |
| 供給量の合計 | 2,363万TDNトン | 2,345万TDNトン | ほぼ同じ |
減った理由は、この表からは分かりません。
濃厚飼料は、輸入の穀物に支えられている
濃厚飼料の中心は、とうもろこしです。農林水産省の「濃厚飼料をめぐる情勢」(令和8年8月)には、日本のとうもろこしの主な輸入先とシェアが載っています。
| 年度 | 米国 | ブラジル |
|---|---|---|
| 令和5年度 | 46% | 42% |
| 令和6年度 | 81% | 18% |
| 令和7年度 | 99% | 1% |
令和6年度と7年度は、確々報値、確報値と、資料に注記があります。輸入先が、短い期間で、米国に大きく寄っています。ここでは、数字の変化だけを確認しておきます。輸入先が1か国に寄ることは、その国の作柄や価格の影響を受けやすくなる、という意味を持ちます。ただし、理由や今後の影響は、この資料の範囲からは分かりません。
家畜を育てる費用の中で、エサの割合は大きく、資料によると(令和6年の統計)、経営コストに占める飼料費は、畜種や地域によって4割台から6割台です。輸入穀物の価格や為替の動きが、畜産の経営に影響する構造です。
国産の濃厚飼料は、どこまで
国産の濃厚飼料として、とうもろこしの子実を、国内で育てる取組があります。資料によると、現在の作付面積は約2,950ヘクタールです。このうち、子実とうもろこしは約2,770ヘクタールで、北海道が約1,640ヘクタールを占めます。
国産の濃厚飼料の内訳(子実とうもろこし、飼料用米、麦など)が、それぞれどれだけの量かは、確認できた資料では分かりません。作付面積の約2,770ヘクタールだけでは、全体に占める大きさを判断できません。
資料は、子実用とうもろこしの利点として、輸入飼料の価格の高騰の影響を受けないことなどを挙げています。課題としては、湿った田では栽培が難しいことと、輸入飼料より生産費が高いことを挙げています。
濃厚飼料の国産の分には、ほかに、飼料用米や、食品の残りを使ったエコフィードがあります。エコフィードは、エコフィードとは?で整理しました。畜産で出る家畜のふん尿を、畑に戻すという、もう一つの循環は、家畜のふん尿は年7,700万トンで扱っています。
まとめ
- 飼料自給率は、2025年度(概算)で24%です。粗飼料は79%、濃厚飼料は11%で、濃厚飼料が供給の約8割を占めます。
- 自給率は昭和40年度の55%から下がり、平成7年度ごろ以降は、24〜28%の範囲で動いています。濃厚飼料の国産の割合は、昭和50年度以降、おおむね11〜14%です。
- 令和6年度から7年度は、濃厚飼料の国産分が約12%減りました。理由は、この資料からは分かりません。
- 日本のとうもろこしの輸入は、令和7年度には、米国が99%を占めました。国産の子実とうもろこしの作付けは、約2,770ヘクタールです。自給率が上がらない理由そのものは、この資料には書かれていません。
次に見たいのは、輸入先の偏りが続くのか、国産の濃厚飼料(子実とうもろこし、飼料用米、エコフィード)が、どこまで伸びるかです。
参照資料
- 農林水産省 大臣官房政策課 食料安全保障室.「食料需給表 令和7年度(参考5 飼料需給表)」(令和8年8月。飼料自給率、粗飼料・濃厚飼料の供給量と自給率、昭和40年度からの推移). maff.go.jp
- 農林水産省 畜産局 飼料課.「濃厚飼料をめぐる情勢」(令和8年8月。粗飼料・濃厚飼料の割合、経営コストに占める飼料費、とうもろこしの輸入先、国産のとうもろこしの作付面積). maff.go.jp